治療と手術の選択
人工関節はどのような材質で作られていますか?
人工膝関節の金属・ポリエチレン・骨セメントの役割と、材質を相談するときの確認点を説明します。

要点
- 人工膝関節では、金属部品とポリエチレンのライナーが一緒に働きます。
- 骨セメントは固定材料で、ライナーの材質とは区別して考えます。
- 特殊な材質の名前に加え、製品の臨床成績、膝の状態、アレルギー歴を確認します。
人工膝関節は、一つの金属の塊ではありません。骨の端を覆う部品、動きを支える部品、骨に固定する材料が、それぞれ異なる役割を担います。材質の名前を覚えるより、どの部分で何をしているかを知ると、手術の相談がしやすくなります。
人工関節の材料を三つの役割で理解します
- 01
骨の端を覆う部品
大腿骨と脛骨の部品が荷重を受けます。コバルトクロム・チタン合金などが使われます。
- 02
動く表面
金属部品の間のポリエチレンライナーが、滑らかな動きを支えます。
- 03
骨への固定方法
PMMA骨セメントで固定するか、部品の表面に骨が成長して入り込むように固定します。
荷重を受ける金属部品、動きを支えるポリエチレンライナー、骨への固定を説明する三つのパネル
金属部品とポリエチレンの役割は異なります
大腿骨の端を覆う部品には、コバルトクロム合金がよく使われます。脛骨の上面に置く台座には、チタン合金やコバルトクロム合金が使われることが多くあります。部品ごとに荷重の受け方や接触面が違うため、一つの人工関節でも材質が異なる場合があります。
金属部品の間には、医療用ポリエチレンのライナーが入ります。プラスチックですが、関節の荷重と繰り返す動きに対応する部品です。大腿骨側の部品がこの表面を動くことで、膝が曲がり伸びます。膝蓋骨の裏面を置き換える部品も通常はポリエチレンです。膝蓋骨は、状態によって置き換えない場合もあります。
骨セメントは人工関節を固定する材料です
骨セメントは、金属の間にあるライナーとは別の材料です。一般にPMMAと呼ばれる医療用樹脂で、骨と部品の間で固まって固定します。建築用セメントとは異なり、膝の動きで接触する関節面を作る材料でもありません。
セメントを使わない固定方法もあります。最初は部品を骨にしっかりはめ込み、その後、骨が部品の多孔質の表面に入り込んで成長するようにします。一部だけにセメントを使う方法もあります。材質と固定方法は関係しますが、別の確認事項です。「どの材質ですか」とともに、「私の骨にはどう固定しますか」と相談すると役立ちます。
セラミックやコーティングが全員に優れるとは限りません
セラミックや酸化ジルコニウムを使う製品、金属表面に特殊なコーティングを加える製品もあります。摩耗や金属への曝露を減らす目的があっても、材料の特性だけで手術後の利益は判断できません。「セラミック」という名前から、すべての部品が同じ構成だと考える必要はありません。
2023年の米国の登録データ研究では、酸化ジルコニウムとコバルトクロムの製品で、短期・中期の全原因による再置換手術リスクに明確な差はありませんでした。2026年に発表された特定のコーティング製品の無作為化比較研究でも、10年の結果は通常の製品と同程度でした。ただし、既知の材質アレルギーがある患者は除外されており、その方々の選択への答えにはなりません。臨床成績と膝の状態を合わせて考えます。
摩耗とアレルギーは分けて確認します
ポリエチレンは長い使用期間に摩耗することがあります。一部では微細な摩耗粒子への反応で周囲の骨が弱くなり、部品の緩みにつながります。材料の改良により以前より減っていますが、材質の名前だけで生涯使えるとは保証できません。新たな痛みや腫れ、悪化する症状は診察で原因を確認します。
金属アレルギーが人工膝関節の不具合の原因になることはまれです。ただし、ピアス・ネックレス・時計などで皮膚反応があった、または金属アレルギーの診断を受けた場合は、手術前に伝えてください。手術後の痛みや腫れだけでアレルギーとは判断しません。感染や部品の緩みなど、ほかの原因を先に確認します。
人工膝関節はどのくらい長く使えますか?
長期の関節置換登録データでは、人工関節を入れ替える手術を受けずに25年間維持された割合は、全置換術で約82%、部分置換術で約70%と推定されました。2019年のLancet誌の総説では、それぞれ82.3%と69.8%でした。
これはフィンランドで以前に手術を受けた患者さんを長期間追跡した結果です。実際に使える期間は、手術時の年齢、人工関節の種類、固定方法、活動量によって変わります。全置換術と部分置換術では適応となる患者さんや膝の状態も異なるため、この数字だけで手術を選ぶことはできません。痛みや歩きやすさも合わせて確認し、新しい痛みや腫れが続く場合は、次の定期受診を待たずに診察を受けてください。
よくある質問
プラスチックだと、すぐに摩耗したり壊れたりしませんか?
ライナーは関節用に作られた医療用ポリエチレンです。長期間に摩耗することはありますが、プラスチックという理由だけで弱い部品とはいえません。耐用期間には、固定状態、荷重と活動、感染なども影響します。
手術前に金属アレルギー検査は必要ですか?
すべての患者に皮膚検査や血液検査を一律に勧めるわけではありません。結果だけでは体内の人工関節への反応を十分に予測できないためです。以前の皮膚反応や診断を伝え、追加評価や別の材質が必要かを個別に相談します。
人工関節の手術後はMRIを受けられませんか?
人工関節があるだけで、すべてのMRIが禁止されるわけではありません。検査担当者に手術を伝え、製品を特定する情報があれば持参してください。その製品のMRI安全表示と許容される撮像条件の確認が必要です。金属の近くは画像が不鮮明になる場合があり、検査目的に合う方法も検討します。
根拠と参考資料
01早めに受診すべき症状
以下の症状は、それぞれ単独でも受診の目安になります。一つでも当てはまれば、該当する方法で受診してください。
救急外来・韓国では119番
- 突然の息切れや胸痛、強いふらつき、意識消失があれば、直ちに119番へ連絡してください。ふくらはぎの腫れがなくても待たないでください。
- 突然、脚に全く体重をかけられなくなった、けがの後に膝が急激に大きく腫れた・形が変わった場合は、すぐ救急外来を受診してください。けがをした側の足が冷たい・感覚が鈍い場合も、直ちに診察を受けてください。
- 熱をもって腫れた関節が強く痛み、高熱・悪寒、意識の変化、体重をかけられない状態がある場合は、救急外来を受診してください。
- 腰や脚の痛みがあり、新たに尿が出ない、排尿・排便をコントロールできない、会陰部や肛門周囲の感覚が鈍くなった場合は、直ちに救急外来を受診してください。両脚の筋力や感覚が著しく低下したり、急速に悪化した場合もすぐに診察を受けてください。
当日中に受診
- 関節が新たに熱をもって腫れる、突然強く痛む、膝が引っかかって伸ばせない場合は、当日中に受診してください。発熱がなくても関節感染は起こります。
- 片側のふくらはぎが新たに腫れる・痛む場合は、血栓の可能性について当日中に診察を受けてください。息切れや胸痛が出たら直ちに119番へ連絡してください。
- 成長期の子どもの強い膝痛や新たな跛行は、大腿骨頭すべり症など、股関節の病気が原因のことがあります。歩行や運動をやめ、当日中に受診してください。体重をかけられなければ直ちに救急外来へ行ってください。
- ランナーに新たな鼠径部痛が繰り返す、歩行時・夜間にも痛む、跛行がある場合は、走るのをやめて当日中に受診してください。大腿骨頸部疲労骨折の確認が必要です。診察までは痛む脚に体重をかけないでください。体重をかけられなければ救急外来へ行ってください。
外来を予約
- 上記の緊急症状がなくても、痛みが数週間続く、腫れを繰り返す、日常生活や運動の範囲が狭くなる場合は、外来で原因と治療計画を確認してください。
